2017-05-28

アセロラの思い出

沖縄に来てすぐの頃、那覇市の壺屋界隈を夫婦で散策していたら、突然「こちらへいらっしゃい、いらっしゃい」と声をかけられ、振り向けば民家の庭先でにこやかに佇む中年男性の姿。

傍の木にたわわにみのる赤い実を数粒とって「味見してごらんなさい。酸っぱいけれど、爽やかで美味しいですよ・・・」。
口に含むと確かに爽やかな酸味が広がります。「本当ですね、美味しいです」とにっこりすると、嬉しそうに「これがアセロラの実ですよ」と、教えてくれました。「この種をとっておいて庭に植えれば、いつか家でも楽しめる様になりますよ」、と・・・。 
思いがけぬことで、夫婦揃ってなんとも温かな気持ちにさせて頂きました。


その時に頂いた幾粒かの実を我が家の庭に植えたところ、今年本当に実をつけるようになりました。
この赤い実を見ると、その親切な方の笑顔が浮かびます。心温まる思い出です。

2017-05-14

5月の沖縄南部プチ散策

連休明けから急に雨や曇りの日が多くなってきましたが、沖縄はこの週末、ついに梅雨入りしたようです。

連休の1日、爽やかな晴天に誘われちょっとランチにでかけ、そまま南部の海岸散策を楽しんできました。

ニライカナイ橋のそばにある眺めの良いカフェで食事をしていると、外を頻繁に飛び交う鳥の姿が・・・。若く綺麗な白ガシラですね。どうも巣材を集めていたようです。木の先端の葉に乗ってあたりを物色している顔は真剣そのもの。けなげです。

カフェのテラスからの海も、快晴のため、とても綺麗でした。

この海の色に誘われるように、さらに少し先の知念半島までドライブ。ゴールデンウィークでしたので、駐車場はさすがにとても混んでいましたが、運良くたいして待たずに車を止められ、そそくさと岬へ。
見慣れた風景とはいえ、大きく広がるコバルトブルーの息を飲むほど美しい海を前に、シャッター回数もつい増えてしまいますねえ。

人はなぜこうした海の色に魅せられるのでしょうね。遥か昔の太古から本能に深く刻みこまれた感性なのでしょうか。白い砂、浅い海、太陽の光の合作によるこの微妙な「青」・・・。言葉にし難い、心が吸い込まれて何ものかと一体となっていくような、不思議なやすらぎを覚えるせいなのかもしれません。いつのまにか気持ちが洗われる様です。


天気が良いと気分は爽やかですが、しばし留まるには日陰は必須。日差しはすでに痛いほどです。

パラグライダーが空を舞っていました。
真っ赤に日焼けしそうですが、そんなことなど気にならないほど、広大な海を見渡しながらの空の舞いは、気持ち良さそうです。



八重瀬町に戻り具志頭の海岸へ。いつもより人が多いですが、混んでいるほどではありません。地元の家族連れがほとんどのようです。バーベューをしたり、海に入ったり、それぞれに海岸でのあそびを満喫しています。
サンゴの跡が散歩には最適です。

岩の潮溜まりには、魚がたくさんいます。
魚や子供達だけでなく、犬も楽しそうに泳ぎ回っていました。
海岸や魚さんの様子はやはり動画にしないとわかりませんので追加です。


こちらは、犬さんの頑張っている姿。
投げられた骨?を泳いでくわえてご主人の元へ戻る、というこのゲームに本当に熱中してますねえ。思わず見とれてしまいました。

こんなプチ散策を半日あまりで気軽に楽しめ、しみじみ幸せです。

2017-05-06

八重瀬町の「こいのぼりあしび2017」

沖縄は八重瀬町の「町魚」は、トビウオだって知っていましたか?

「こい」のぼりではなく、ヒレの大きくスマートな「トビウオ」のぼりです。

「町花」とか「町木」とかもありますが、熊本県のマスコットくまモンのようには広く知られていませんね。八重瀬町のマスコットは八重瀬のシーちゃんですが、ご存知でしょうか。シーサーを元にデザインされたようです。なかなか可愛いキャラクターなのですが、まだまだ知名度は低そうです。(今ふと思ったのですが、トトロなんかをマスコットにできたら最高かもしれませんね。で、町を走るバスはみな猫バスにしたら、乗りに来る人の数はすごいでしょうね。)

では、熊本県の県魚は? 意外にも「クルマエビ」だそうです、高級品を県魚にするマーケティング戦略ですね。沖縄県は「クルマエビ」の養殖は結構盛んですが、県の魚は「タカサゴ」だそうです。「タカサゴ」は沖縄の売りたい魚なのでしょうか?県によっては、季節ごとに県魚を変えてしまう、旬で売りたい魚を県の魚に指定してしまう、等なかなか抜け目ない戦略を取っているところもあるようですが・・・。

他県の県魚の話は、八重瀬町の話からそれてしまいそうなので、八重瀬町の町魚に戻しましょう。港のある八重瀬町の町魚は空を飛ぶ魚「トビウオ」です。なぜトビウオ?それは昔、町の港川漁港で大量にトビウオが陸揚げされた時代があったから。

もしマーケティングを考えるなら、トビウオの干物や味噌づけなど、ちょっと気の利いた日持ちのする商品を企画したり、旬の時期にここでしか食べられない食材を提供して、その旬に合わせて「トビウオ祭り」などを企画、なんてどうかなあ、と・・・。「沖縄で旬のトビウオを食べると元気がでる」、「泡盛にはアゴの干物が最高」なんてどこかで聞いたようなストーリーもありそうな。沖縄の砂糖と味噌を使って、トビウオを漬け込んだらどうでしょう。油が気になりますが、油味噌の利用もありかも、です。焼いたらとても良い香りがしそうですね。

八重瀬町のマーケティング戦略はまだよく見えません。けれどそれは、そんな世界とは無縁な町の良いところであるのかも。

なぜこんな話をしているかというと、5月の節句の時期に(なぜか4月30日)に行われたのが、「やえせこいのぼりあしび2017」だったから。
会場の港川には、町魚の「トビウオ」の絵があります。
祭りの名称は「こいのぼりあしび」ですが、会場に行くと実際の主役は「鯉」のぼりではなく、むしろやや地味な色彩の「トビウオ」のぼりの様な感じ。総数では劣るものの、この「トビウオ」のぼりはやはり珍しいので、地味でも目を引きます。なので、祭りの名前もいっそ「やえせトビウオのぼりあしび2017」とする方がユニークさが強調されて面白いような気もしますが(ちょっと名前としては長すぎですかね)。
いずれにせよ、今、港川漁港には、トビウオノボリが400匹、その他の手作り鯉のぼり等が600匹、合計1000匹が泳いでいます。

たくさんのトビウオが風に乗って滑空している姿はそれなりに圧巻ですね。

でも、風がないとトビウオの干物?のように・・・。


このトビウオは5月18日まで掲揚されている予定だそうです。

こんなことを書いていたら、おいしいトビウオの干物が恋しくなりました。
あごの丸干しなどが八重瀬町で買えないかな?味噌漬けも・・・。あ、ついでに伊豆のキンメの味噌漬けも食べたくなりました。

やはり、味はその土地と結びついていますね。八重瀬のトビウオが食べたいと思われるほど、八重瀬のトビウオの水揚げはあるのでしょうか?ちょと探して見ましたが、港川の魚屋さんにもトビウオはなかったような・・・。

トビウオの買えるお魚屋さんはどこにあるのでしょうね?


2017-05-05

白いワタボールが木に?

さあ皆さん、この写真に写っている白いものは一体なんでしょう?


雲にしては小さいし、綿菓子のようでもあるけれど、なんで木に?白くてフワフワしています。直径はどう見ても10センチ以上ありそう。綿状の何かが木に引っかかっているようにも見えますが。遠くから見ても、とても花には見えません。
あら・・・、綿の隣にはなにやら見覚えのあるものがぶら下がっています。
正解は・・、実はこれ、トックリキワタの実の弾けた姿でした。

トックリキワタの花
これを見て、トックリキワタの名前の由来がやっと正確に理解できたのでした。トックリキワタの花は、遠くから見ると桜のようです。幹は確かにトックリのよう。


でもキワタって何?花は遠景として観れば確かに桜の花のような感じですし、近くで一輪ずつ眺めるとサイズも大きく、しっかりしたピンク色の花びらの中央部分は明るい黄色。かなり華やかです。その印象からすると、むしろ南米桜という別名の方がしっくりすると思っていたのですが、キワタとは木綿の意味だったのですね。つまり幹の外形と実の弾けた姿からの命名だったわけです。あんなに存在感のある花が無視されて名付けられていたとは・・。ちょっと驚きですが、よく考えたら桜のように見える花は他にも結構あるのでしょうから、より特徴的な部分を強調して名前をつけた方が見分けやすいということなのでしょうね。

綿の隣に下がっているのは、そう、見覚えのある実です。外見はやや大きめのアボカド?な感じ・・・。

そして、別の割れた実の中から、白いものが。なんだか白子のようにもみえますね。

その脇には、実の外皮の剥げ落ちたものが・・・。白子がさらに膨らんで綿になりつつある様子。
そして、ついには大きな玉のような綿の塊へ。ここまでくるとなんだか可愛らしく感じますね。

足元にはちぎれた綿のようなものが落ちており、風に飛ばされ空を舞っているものも。

そして、下半分が飛ばされた実(綿と種)も残されています。うーん、見つめれば見つめるほどユーモラスです。

内側に目のようにタネのついている部分と、剥がれ落ちた皮を拾ってきました。皮の内側には、まだ開く前に詰まっていたワタの文様が残っています。

ついにはこんな姿に・・・。おばけのような格好のワタが、まるで足の生えた幽霊映画のキャラクターのよう。ホント、愉快でつい笑ってしまいます。

それにしても、「とっくり」のような幹をした「木綿」の木、まさしくそのものだったのですね。
今年の2月頃に見たトックリキワタはこんな感じで、実と同時にまだ美しい花も咲いている少し不思議な状況だったのですが、その実が熟してはじけると、木綿(キワタ)ができていたのです。ほんと、ビックリです。
トックリキワタはボリビアから沖縄に入ってきたとあります。実際に、この木綿(キワタ)はクッションやぬいぐるみなどの内綿としてして使われているようです。特に、撥水性に優れ昔は救命衣の内綿としても使われていたとか。綿と言われればそのままで素直に納得できるほど、加工前でも充分フワフワで、とても艶のある白く綺麗な綿です。

沖縄に来て連休時期に綿状のものが飛び交っていたら、それはトックリキワタのタネがワタと共に風に飛ばされながら、新たな繁殖地を見つけている、ということなのです。

それにしても、こんなユーモラスで可愛いワタ達の姿に気づいたら、トックリキワタに今まで以上に愛着を覚えるようになりました。

植物もよくながめてみると、それぞれ本当に個性豊かで面白いですねえ・・・。